ハローワークの職業訓練を受けて経理の未経験業種への転職は不利だったか

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    20代~30代なら、未経験でも異業種への転職は余裕だよね!

    そう思われる方も多いでしょう。

    しかし、私自身がその頃の年代で転職するのはかなり大変でした。この記事では30代の頃、未経験から経理の仕事への転職を試みて、職業訓練を受けた話を紹介します。

    これから職業訓練の受講を考えている人にとって、次のような疑問を持つかもしれません。

    • 職業訓練って受講しても意味がないの?
    • 無料で勉強できるって聞いたけど本当なの?
    • 転職を考えているけどスキル不足に悩んでいる
    • スクールに通いたいが学費を出す余裕がないので職業訓練が気になる
    • 職業訓練について「不利」という情報に不安を感じている
    • 職業訓練後に転職成功した話を聞きたい

    私は2回職業訓練を受講したことがあり、この記事の話は1回目の体験談です。

    給付金や雇用保険(失業保険)を受給しながら職業訓練に通う方法や、コース、手続き方法も紹介します。

    この記事は職業訓練でWebマーケティングを学んだ時に、転職活動用として作成した記事です。

    50代女が職業訓練でWebマーケター受講した話

    目次

    公的職業訓練の種類・給付金等・受講手続きを知る

    職業訓練を受講するかどうか迷っている方や、受講することを決めた方に向け、職業訓練にはどのような種類があるか、また給付金制度についても解説します。

    公的職業訓練(ハロートレーニング)は、職業スキルや知識を身につけるための職業訓練制度です。期間は2か月からあり、1~2年の訓練もあります。

    公的職業訓練は2016年11月に、愛称・キャッチフレーズを「ハロートレーニング ~急がば学べ~」に決定されました。

    公的職業訓練、公共職業訓練、求職者支援訓練、ハロートレーニング、などの似たような言葉だったり、サイトによって名称が違ったりする場合があり、混乱する人もいるかもしれません。

    職業訓練の名前や内容を整理しました。

    公共職業訓練と求職者支援訓練

    公的職業訓練は大きく分けると2つ。

    公的職業訓練
    1. 公共職業訓練
      主な対象者:雇用保険(失業保険)を受給している求職者
    2. 求職者支援訓練
      主な対象者:雇用保険を受給できない求職者

    1番目の「公共職業訓練」はさらに4つにわかれます。

    公共職業訓練
    1. 離職者向け(無料)
    2. 障害者向け(無料)
    3. 学卒者向け(有料)
    4. 在職者向け(有料)

    以下は、それぞれの訓練の詳細です。右側の三角をクリックすると、表示・非表示を切り替えできます。

    求職者支援訓練

    ハローワーク求職者で、主に雇用保険を受給できない方向けの訓練です。条件を満たすと月10万円の給付金が支給されます。

    • 訓練期間:2か月~6か月
    • 受講料:無料(テキスト代等除く)
    • 実施機関:民間教育訓練機関等(訓練コースごとに厚生労働大臣が認定)で、基礎コースと実践コースがある
    公共支援訓練・離職者向け

    ハローワーク求職者で、主に雇用保険受給者向けの訓練です。

    • 訓練期間:概ね3か月~2年
    • 受講料:無料(テキスト代等除く)
    • 実施機関:国(ポリテクセンター)、都道府県(職業能力開発学校)、民間教育訓練機関等(都道府県からの委託)
    公共支援訓練・障害者向け

    ハローワークの求職障害者向けの訓練です。

    • 訓練期間:概ね3か月~1年
    • 受講料:無料
    • 実施機関:国(障害者職業能力開発校、他)、都道府県(職業能力開発学校)、民間教育訓練機関等(都道府県からの委託)
    公共支援訓練・学卒者向け

    高等学校等卒業者向けの訓練です。

    • 訓練期間:1年または2年
    • 受講料:有料
    • 実施機関:国(ポリテクセンター)、都道府県(職業能力開発学校)
    公共支援訓練・在職者向け

    在職労働者向けの訓練です。

    • 訓練期間:概ね2日~5日
    • 受講料:有料
    • 実施機関:国(ポリテクセンター)、都道府県(職業能力開発学校)

    過去に受講したことがありますが、受講後に終了証書をいただきました。

    雇用保険・給付金

    前項目で説明していますが、職業訓練受講中に雇用保険の受給、または給付金の支給がある場合があります。

    • 公共支援訓練・離職者向け:雇用保険の受給
    • 求職者支援訓練:給付金の支給
    公共支援訓練・離職者向け

    雇用保険受給者の場合、所定給付残日数によっては給付金延長されます。また、給付制限中に訓練開始すると、給付金の支給が早まります。

    条件
    • 原則雇用保険の所定給付日数の2/3に相当する日数分の基本手当の支給を受け終わる日以前に受講開始
      所定給付日数が90日の場合:90日分、120日又は150日:120日分、240日以上:150日分まで
    • ハローワークで受講の必要性を判断
    求職者支援訓練

    条件を満たす場合は、受講期間中受講手当(月10万円)を受給しながら無料で職業訓練を受講できます。受講手当の他、通所手当や寄宿手当を支給(本人収入が月8万円以下等)もあります。

    対象者の例
    • 雇用保険の適用がなかった離職者
    • フリーランス・自営業を廃業した
    • 雇用保険の受給が終了した
    • 収入が一定額以下の在職者

    上記対象者で給金支給条件を満たしている必要があります。

    給付金の支給要件
    1. 本人収入:月8万円以下
    2. 世帯全体収入:月25万円以下
    3. 世帯全体金融資産:300万円以下
    4. 現在住んでいるところ以外に土地と建物を所有していない
    5. 訓練実施日全て出席
    6. 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
    7. 過去3年以内に不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない

    詳しい情報は厚生労働省のサイトで確認してください。

    職業訓練のコース

    様々なコースがあり、資格取得を目指すコースもあります。

    • 事務系
    • IT
    • 建設・製造
    • サービス
    • 介護
    • デザイン
    • 美容

    全国のコースを閲覧しましたが、コースが一番多いのは東京です。地方ではコース数が少ない傾向にありますが、通学可能なら隣接する都道府県の職業訓練を受けることも可能。また、eラーニングのコースを受講することも可能です。

    一部のeラーニングは通学する日を設けているコースもあります。

    地域によっては、ハローワークのサイトで「オンライン訓練・eラーニング」等のコーナーを設けていることもありまが、案内がない地域もありました。(2023年現在)

    検索方法としておすすめは、東京の職業訓練コーナーをインターネットで閲覧することです。完全に自宅でできそうで興味のある職業訓練を見つけたら、ハローワークに相談しましょう。

    受講手続きの流れ

    受講を決めた際に、手続きをスムーズに進めるためには、手続きの流れを知っておくと良いでしょう。

    管轄のハローワークで、以下の手続きをします。

    1. 職業相談
    2. 説明会
    3. 受講申込
    4. 選考
    5. 合格後に行うこと
    職業相談

    ハローワークで職業相談をします。

    コースを選んだ理由を聞かれる(はずです)。それは、本当に職業訓練を受け、就職する気があるのかの確認でもあります。

    まだコースを決めかねている場合は、相談にのってもらえます。

    この相談の際に、申込書をもらえます。

    説明会

    受講したい訓練校に直接行き、見学することもできます。見学が必須のコースも存在するようなので、確認してください。

    eラーニングの職業訓練の場合は、ZOOM等でのオンライン説明会を実施していることもあります。

    参加必須でない場合でも、参加した方が雰囲気がわかるし、受講する気があるアピールにもなります。

    受講申込

    ハローワークへ行き、受講申し込みの手続きを行います。

    eラーニングの場合は、申込書の一部を訓練校にメール等で送付する場合もあります。

    選考

    選考は職業訓練校が行います。

    面接のみのコースもありますが、面接と適性検査等の試験があります。

    ポイントは、職業訓練を受講して就職したい、ということが伝わるかです。

    合格後に行うこと

    合格した場合、ハローワークの指示でキャリアコンサルティングを受けます。キャリアコンサルタントによる面談の前に以下の書類作成(例)をします。

    • キャリア・プランシート
    • 職務経歴シート
    • 職業能力証明(免許・資格)シート
    • 職業能力証明(学習歴・訓練歴)シート

    その後、訓練開始前(日時の指示有)に、就職支援計画の作成し、 訓練受講開始します。

    職業訓練受講の体験談

    私は職業訓練前も受講中も勉強を続けていました。しかし転職は厳しかったです。そんな私が1回目に受けた職業訓練について紹介します。

    受講した科のは「経理・総務」です。

    当時の状況

    自己都合で退職し、当時は3か月の給付制限がありました。

    状況
    • 退職日:12月末
    • 求職申込日:1月15日
    • 給付制限期間:1月22日~4月21日
    • 職業訓練申込日:5月26日
    • 職業訓練:7月1日~9月26日

    職業訓練開始日の給付金残日数は21日でした。給付日数は90日だったので、訓練開始日に1/3の残日数を切っていましたが、給付金は延長されました。

    職業訓練の内容

    受講コース
    • 訓練科目:経理・総務
    • 訓練期間:3か月
    • 訓練施設:東京都内の資格の学校

    受講生は30人くらでした。

    訓練内容は、簿記は日商簿記2級レベル、その他には、MOS(Excel、Word)の勉強もありました。受講終了後に、終了証書をいただきました。

    訓練校の受講で資格取得可能か

    簿記やMOSの試験を受けるかについては任意でした。

    私は訓練校に入る数か月前に、日商簿記3級に合格、訓練終了後に日商簿記2級に合格しました。

    職業訓練の授業は、全くの初心者だとスピードは少し早かったと感じていました。

    日商簿記2級の受験は、職業訓練以外に、派遣会社のeラーニング(無料)を利用して簿記の勉強をしました。

    転職活動・職業訓練中

    訓練中から転職活動をしていました。

    仕事探しの方法
    • ハローワークの求人
    • 派遣会社
    • アルバイト求人誌

    ハローワークへは頻繁に行き、いくつもの求人に応募しました。かなり多くの求人に応募した結果、面接(職場見学)できたのはたったの2件でした。30代でも異業種からの経理への転職は厳しいと知った出来事でした。

    • 自分で検索したハローワークの求人:面接までたどり着けたのは0件
    • 派遣スタッフ:1件のみ職場見学まで
      残念ながら仕事は決まりませんでした。場所は六本木で、SAP使用の経理、時給1,500円くらいだった記憶があります。
    • アルバイト:1件のみ面接まで
      残念ながら不合格。新宿区の税理士事務所の経理で、時給1,000円の仕事でした。

    仕事が決まらないまま、職業訓練が終わってしまいました。

    転職活動・職業訓練終了後

    まずはじめに、私は初めての就職で失敗し、20代~30代は転職難民でした。このような者が働ける会社は、かなり高い確率でブラック企業です

    またブラックか?

    働きはじめたのは、職業訓練終了2週間後からでした。

    仕事が決まらなかったため、とりあえず経験のある仕事をハローワークで探し、仕事をしながら転職活動をすることにしました。

    エクセルVBAを使う仕事を見つけ応募して社員として採用されたのですが、求人内容の仕事でもなかったし、勤務先は違う場所でした。そして、ブラックだな、と気づきました。

    実際の仕事は、客先常駐のシステム移行等に関する業務(ユーザーサポート含む)で、扱うシステムは一度も触ったことない限られた業界向けの会計システムでした。ただし、この仕事を任された理由は、「簿記知識」があったからでした。経理職には就けなかったものの、簿記の資格は役立ちました。

    再び経理の仕事探し

    仕事をはじめてから半年後に、ハローワークの求人やアルバイト求人誌の募集にいくつも応募しました。その中で面接までたどり着けたのはたったの2件でした。1件は池袋エリアの小さな会社(業種すら覚えてない)の社員募集で、面接後すぐに不採用通知が届きました。

    いや、面接中からこれはダメだな、と感じていました。面接官が私に全く興味なさそうな態度で、ただ適当に扱われた感じでした。

    採用された会社には、簿記2級やIT系の資格、会計システムの経験に興味をもたれ、未経験でも経理として雇ってもらえることになりましたが・・・

    またブラック企業に

    • 雇用形態:アルバイト、のちに社員
    • 職種:経理
    • 時給:1,000円
    • 休日:土曜祝
    • 業種:不動産、建築、その他

    街の地主である社長が設計、建築、そして賃貸している会社でした。

    しかし、この会社はブラック企業でした。面接の時点でやばそうだとは感じていましたが、実務経験のため働くことに決めました。

    働き始めて3か月後、ほぼ強制的に社員にされました。給料は税金等ひかれて約18万円でした。これは全く嬉しいことではありませんでした。

    その理由は、社保はあったものの、住民税は普通徴収、有給休暇なし、残業代なし、ボーナス1年間で1.5か月分くらい、その他待遇はよくありませんでした。有給休暇もないのに、土曜日出勤が時々あり、もちろん給料は変わりませんでした。

    資格って役立つのかは採用側次第

    私の場合は、ブラック企業にバイトとして採用されましたが、その理由のひとつに「資格」があります。

    面接担当だったのは社長で、働きはじめてよくわかったのですが、学歴重視でした。もし低学歴なら資格重視の人でした。また、採用されるタイプの人間は、基本的におとなしい人。

    資格があれば採用される可能性は高まりますが、私のようにブラック企業に採用されることもあります。ただし、経験を積みたいのなら、ブラック企業でもいいからしばらくの間、耐えて仕事を覚えるという方法もありだと思います。

    まとめ

    職業訓練を受講するのは有利な場合もありますが、基本的に転職で成功するのは難しいです。

    また、職業訓練受講中に次のように思ったことはあります。

    • ついていけないかもしれない
    • なんかちょっと違うかも

    さらに、受講目的を明確にし、本当に学びたいコースを受講すれば、受講中に失敗したと思うようなことない?とは言い切れません。

    同じ職業訓練の受講者で、私のように受講直後に希望の仕事に就けなかったという人は、結構多かった印象です。

    職業訓練終了後にすぐ関連職種への転職ができなくても、時間が経ってから転職できることもあります。この職業訓練後に私はどうしていたかというと、経理の仕事の後、収入を増やす危機に陥り、一度IT職へ戻りました。その後は、家庭の事情で引っ越しが多いため、住んだ地域により、IT系の仕事または経理の仕事をしています。

    すぐに転職できず落ち込んでいる方の励みになれば幸いです。

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